三田図書館・情報学会:Mita Society for Library and Information Science

2011年度三田図書館・情報学会研究大会研究要旨


大学図書館の規模と研究活動の関係のモデル化

杉内真理恵(慶應義塾大学大学院)  
発表要旨
 図書館を客観的に評価するため,これまで図書館の規模に関わる研究が行われてきた。しかしこれまでの大学図書館の規模に関する研究には,大学図書館の役割を考慮したものはない。本研究は,研究支援という大学図書館の役割を踏まえ,大学における研究活動の成果と,大学図書館の規模の関係を明らかにすることを目的とした。研究活動成果と図書館規模の関係を把握するため,各指標間の相関係数を算出し,相関行列による主成分分析を行うことで得られた結果をもとに構造モデルを作成した。また重回帰分析を行うことで,研究活動成果を予測する大学図書館規模の回帰式を推定した。論文数を研究活動成果の指標とし,『SciVerse Scopus』及び『CiNii』を用いて各大学の2009年の論文数データを収集した。図書館規模の変数としては,①奉仕対象総数,②蔵書冊数,③受入図書合計総数,④受入雑誌種数,⑤職員数,⑥延床面積,⑦図書館費を採用し,『日本の図書館:統計と名簿(2009)FD版』からデータを入手した。

大学生の学習実態:東京外国語大学学生を対象とした行動調査

古橋英枝 (慶應義塾大学大学院)  
発表要旨
 学習形態ごとの学生像を明らかにし,大学図書館において,より学習実態に即したサービスの展開を目指して,大学生の学習実態を調査した。東京外国語大学の全学生を対象に,学生が学習場所の選択時に優先する空間・設備・情報源の各要素と学習時間数を質問紙調査により調べた。さらに,学生29名を対象に3日間の生活時間調査を実施し,より詳細なデータを収集した。回答した学部学生のうち,1)62%は最も利用時間が多い学習場所として「自宅」をあげ,2)42%は,空間要素として「集中できる」ことを最も重視しており,3)59%は,「必要な場合を除いて1人」で学習していた。また,土日・平日を問わず学習時間のピークの一つが21時から23時にあり,これらから,学生は,基本的には「自宅で一人で集中して学習」し,必要に応じて「大学図書館等で複数人で学習」している実態が示された。また,図書館の開館時間と学生の学習時間との間に不一致があることなどが明らかになった。

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