【2005研究大会】大学図書館が実施する学習・教育支援を背景とした教員と図書館員のパートナーシップ:アーラム・カレッジのケース・スタディを中心に
◆所属 長崎大学大学教育機能開発センター
◆発表題目
大学図書館が実施する学習・教育支援を背景とした教員と図書館員のパートナーシップ:アーラム・カレッジのケース・スタディを中心に
◆発表要旨
(1) 研究目的
本研究の目的は,米国の大学図書館が実施する学生対象の学習支援および教員対象の教育支援の現象の全体像を説明することによって,教員と図書館員がパートナーシップを構築するプロセスとその背景について理解を深めることにある。この目的を達成するために,次の研究問題を設定している:
①大学図書館は,学習支援を実施する中で,なぜ教員と協働するようになったのか,また,どのように協働してきたのか。
②大学図書館は,なぜ直接的に教育支援を実施するようになったのか,また,どのように教育支援を実施してきたのか。
③どの学内組織が,大学図書館と協働して教育支援を実施してきたのか。大学図書館は,なぜこの学内組織と協働して教育支援を実施するようになったのか,また,この学内組織とどのように協働して教育支援を実施してきたのか。
(2) 研究方法
本研究の方法はケース・スタディである。具体的には,米国の大学図書館が実施する学習・教育支援を背景とした教員と図書館員のパートナーシップ構築のプロセスとその背景を明らかにするための歴史的・組織的な学問的方向性をもつ記述的なケース・スタディということができる。調査対象の大学は,次の基準をもとに選択をしている:
①大学図書館が学習支援を実施する中で,教員と図書館員が恒常的に協働している教養カレッジおよび研究大学
②大学図書館が直接的な教育支援を実施している教養カレッジおよび研究大学
③大学図書館と他の学内組織が協働して教育支援を実施している教養カレッジおよび研究大学
以上の条件をもとに,アーラム・カレッジ(教養カレッジ)とミシガン大学(研究大学)を調査対象とした。今回発表するのは,アーラム・カレッジのケース・スタディである。対象としたデータは,アーラム・カレッジに関する一次資料および二次資料である。具体的には,次のとおりである:
①学習・教育支援の経験をもつ図書館関係者の聞き取りによって得られる情報
②図書館が実施する学習・教育支援や運営・管理に関する資料記録
③会議の議題や提案・進捗レポートなどの管理文書
④学内広報誌に掲載された図書館関係の記事
⑤図書館が実施する学習・教員支援に利用している演習室や設備など物理的環境に関する情報
⑥図書館が実施する学習・教育支援関係の論文,学士課程教育に関する論文
⑦図書館が実施する学習・教育支援の直接観察から得られた情報
(3) 得られた(予想される)成果
①アーラム・カレッジの図書館が実施する学習支援と教育支援を背景として,教員と図書館員のパートナーシップが構築されるのに,どのような要因が関わっているのか,その事実を明らかにすることができる。
②アーラム・カレッジの図書館が実施する学習支援プログラムや教育支援プログラムの時間的変化の中で,現在の教員と図書館員のパートナーシップがどのように構築されてきたのかを説明することができる。
③①②によって,大学教育を背景とした教員と図書館員のパートナーシップ構築の概念的枠組みを構築するための基礎的なデータを得ることができる。