【2005研究大会】「司書資格」と大学図書館員に必要な知識・技術-LIPER大学図書館調査報告
◆所属 名古屋大学附属図書館研究開発室,東京大学情報基盤センター,明治大学文学部,文教大学越谷図書館,九州女子大学人間科学部,東洋大学社会学部,筑波大学大学院図書館情報メディア研究科
◆発表題目
「司書資格」と大学図書館員に必要な知識・技術-LIPER大学図書館調査報告
◆発表要旨
(1)研究目的
今日,大学図書館を巡る環境は激変している。少子化による18歳人口の減少,大学全般の財政緊縮及びアウトソーシングの進捗,電子ジャーナルの普及,情報通信技術導入と教育カリキュラム改定による情報利用行動の変化,それに対応した情報リテラシー教育の進展,と大学図書館に関わる課題は山積している。その状況下で,大学図書館を担う情報専門職の問題は重要である。そこでまずその配置状況,職務内容,必要な専門的知識技能そして司書資格養成教育に対しての認識を把握する。そして人的資源マネジメントのあり方,及び今後の「情報専門職」に求められる要件を明らかにし,養成および研修にあたる機関がそれらをどのように担当するべきかを検討する。さらに今後,情報専門職の質を維持発展するためにとるべき具体的指針はどのようにあればよいかを明らかにする。以上が研究目的である。
(2)研究方法
まず規模主題の異なる複数の大学図書館において若手/中堅/管理職/図書館長の四グループに分けたグループ・インタビューによる質的調査行った。ここで得られた検討事項,文献調査の結果そして1989年,大学図書館管理職に対し行われたいわゆる「東京大学調査」と同様の質問紙調査を実施することにより,この15年間の量的な変化を把握することができると考え,全国公私立大学図書館に対する質問紙調査を行った。本発表は両調査の結果をもとに総合的な分析を行い,報告するものである。
(3)得られた(予想される) 成果
第一のグループ・インタビュー調査は8大学図書館81名に対し実施した。この結果は2004年度第52回日本図書館情報学会研究大会で報告を行った。
第二の質問紙調査では対象図書館687館のうち439館(63.9%),1565票の回答を得た。この一部は2005年度日本図書館情報学会春季研究集会で報告を行った。
これらの調査から大学図書館員に求められる知識・技能について,
①一般的能力・教養(企画力・コミュニケーション能力),②主題知識/コンテンツ,③図書館・情報の知識・技術の三点の知見,枠組みを得た。
この詳細についてA.グループによる視点の違い,B.コアとなるものと周縁的なもの,C.その間に見えるもの等の観点から,専門的知識技能について因子分析等を用いながら検討を加え,今後の情報専門職の知識技能に関する要件を考察する。また「司書資格」に対する意識とその内容についての意見を検討し,これらを合わせて報告する。