三田図書館・情報学会:Mita Society for Library and Information Science

【2005研究大会】図書館用語の“ゆれ”に関する一考察:用語「リボン式配架」を素材に

◆氏名 1)志保田務,2) 北克一,3)杉本節子
◆所属 1)桃山学院大学,2)大阪市立大学,3)武庫川女子大学(非常勤)
◆発表題目 
 図書館用語の“ゆれ”に関する一考察:用語「リボン式配架」を素材に
◆発表要旨
(1)研究目的 
 図書館用語の用語法に“ゆれ”が見られる事実がある。こうした“ゆれ”は二つの方面に分けて考えることができる。一つは,同一概念が複数の用語で表されるケースである。いまひとつは,一つの用語が異なる二以上の意味に分かれて使用されるケースである本稿では後者の“ゆれ”に着目する。すなわち,一語に関して多様に存する意味づけのうちから,いずれを採ることが妥当であるかについて論及する。 この追究は,用語法の“ゆれ”が図書館情報学の教育・研究上不安定さをもたらす懼れがあるところから,それらの安定化を求めようとするものである。
(2)研究方法  
 言い換えると,さまざまの形で使用されている図書館関係用語について多数説,有力説,あるいは正当と解される意味づけを把握しようとする。なお,外国から移入された用語の場合,翻訳の源泉で使用された意味に還る必要がある。日本における図書館学が明治時代に始まり英米に大きな影響を受けていると考えるからである。本稿は上記範囲の事象のうち,その検討の素材として「リボン式配架」を採る。この語は現代では使用頻度の低い語であるが,それゆえにまた安定を得ない用法で使用される懼れがあると考える。ここに同語を対象とした理由があるが,本旨としては,サンプル研究,その方法論の一素材とした。 なお,「配架」,「配列」の「配」に関して「排」の文字があてられることがある。『日本目録規則1987年版』(及びその二つの改訂版)における「排列」がその例である。だが,本稿の扱う「リボン式」は,『日本目録規則』が仕切っている目録記入の「排列」作業とは無関係である。「リボン式」は『日本十進分類法』(新訂9版 1995 本表編 「解説」3.5)の言う「配架」(法)の一種である。このことを理由に,本発表では『日本十進分類法』が用いる「配架」の文字を表示上使用する。
(3)得られた(予想される)成果
 「リボン式配架」については,その目的,実施方法論などの紹介において,多くは 部分的紹介に留まり,また,そうした先行文献の「孫引き」的解説が長く流布されるに 至っている。こうした事実を,英米及び日本において,「リボン式配架」を取り上げた先行文献を比較考察し,文献的実証を得た。

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