【2005研究大会】学部学生のWeb情報源評価に影響を与える要因
◆所属 愛知淑徳大学文学部
◆発表題目
学部学生のWeb情報源評価に影響を与える要因
◆発表要旨
(1)研究目的
本研究では,学術情報へのアクセス回数や所属する学問分野に関する知識が研究者ほど豊富ではない学部学生によって行われるWeb情報源評価に影響を与える要因を明らかにすることを目的としている。
本研究において想定した要因は下記の3点である
・学部学生のインターネット利用経験
・問題解決に利用するメディアの優先順位
・個々の学部学生が保持する批判的思考態度
これら3点の要因が,学部学生による課題作成等の学術利用を目的として収集されたWeb情報源の評価に影響を及ぼす要因であるかを検討する。また,これらの要因が影響している場合に,各評価項目(群)に対する影響の度合いについても検討する。
(2)研究方法
愛知県および岐阜県の大学に所属する3年生および4年生111名を被験者として,無記名の質問紙法による実験を行った。被験者の所属学部は文学部,教育学部,地球科学部,家政学部,文化創造学部の5学部である。実施は2005年7月15日と8月4日の2回に分けて行なった。被験者全員が授業内でWeb情報源の評価に関する指導を受けていた。無記入の回答項目が存在した21件を分析から除外したため,有効回答数90件であった。質問紙は下記の3部分から構成されている。
・被験者のインターネットの利用経験および問題解決に利用するメディアの優先順位に関する設問:7問
・学生の批判的思考態度に関する設問(4段階のリカート法):33問
※4つの因子から構成:「論理的思考への自覚」13項目,「探求心」10項目,「客観性」7項目,「証拠の重視」3項目 ・Web情報源評価項目に関する設問(3段階のリカート法):95問
※8つの群から構成:「Accuracy」「Purpose」「Authority」「Content」「Recency / Stability」「Accessibility」「Subjectivity」「Other」
※実験者が提示した評価項目以外の着目点を被験者が想起した場合のための自由記述欄を設けた
(3)得られた(予想される)成果
現時点で確認されている結果は下記の通りである。
・インターネット利用歴や週当たりのインターネット利用時間の長さは,被験者が着目した評価項目数の多少や批判的思考態度の発達度には殆ど関係しない
・被験者が着目した評価項目数の多少は,批判的思考態度の発達状態と弱い相関が見られる
今後さらに分析を進め,より詳細な検討を行う。