【2005研究大会】<事象的なアプローチ>によるファセット分類
◆所属 東北大学情報科学研究科 人間社会情報科学専攻メディア情報学講座メディア文化論分野
◆発表題目
<事象的なアプローチ>によるファセット分類
◆発表要旨
(1)研究目的:
インターネットの効率的な情報検索の手がかりとして,ファセット分類が注目されている。しかし,その潜在性を果たすため,従来のファセット分類は修正される必要がある。既存のファセット分類法のほとんどは学問分野的アプローチに基づき,ファセットは学問分野の文脈に左右されてしまう。<学問分野的アプローチ>は唯一の可能なアプローチではなく,事象的アプローチ分類に関する今までの研究を振り返り,現在のインターネット上の情報検索におけるファセット分類の問題点を分析して,改め,<事象的アプローチ>を提案することが本稿の目的である。
(2)研究方法:
画期的斬新な動きともいえる[ファセット理論]と[事象的アプローチ]の両方を焦点し研究してきたCRG(Classification Research Group;1969)の「積層レベルの理論」 (Integrative Level Theory)に注目し,その研究を振り返り,積層レベルの理論の主要な利点と欠点について纏め,CRG は更にその理論を実行しなかった原因を分析する。インターネット情報検索において,学際的な情報の検索共に多ユーザーの検索問題を注視してきて,事象的アプローチのファセット分類が重要になってくる。
具体的には,まず,ハルトマン(Hartmann, 1942) 及びフィーブルマン(Feibleman, 1954)の積層レベルの理論によれば,あらゆる物質的な実体はその構造に従って,ふさわしいレベルに割り当てることができる。後ろのレベルは前のレベルの性質の全部を持っている一方,それ自身も新しく独自の性質を備え,これは,また次のレベルの性質の一つになる。この原理に基づき,実際に,ある事象を位置づけるときには,より高いレベルに属していれば,より先に順序を決められている。それは一般的に客観的な世界における事象のレベルとレベルの間の関係性を示していた理論である。そのため,分類における主類の配列の原理の一つとして,CRGに利用されていた。主にランガナータンから受け入れたファセット分類法を理論研究してきたCRGは,かれのコロン分類法の主類の配列には理論的な根拠が足りない,ファセットは学問分野に左右されるため,とく第一パーソンナリティ・ファセットの定義は曖昧さをかかれていた。そのため,CRGは学問分野の第一区分になるのをやめる方向へと向かい,この理論の応用の可能性に注目し理論研究し始めていた。しかし,その理論を実行しなかった。最初CRGは,図書館分類表の特徴である線型排列になると期待された積層レベルの理論は,上位のレベルへ進む過程で分岐構造を起こす。図書の書架上での配架位置を決定するという機能を重視していた当時の状況からこの欠点を克服されなかった。そのまま,ファセットを中心とした研究に戻ることになっていた。今,インターネットの情報検索は必ずしも書架分類のように線型に収まる必要がない。また,それぞれのユーザーにおける情報検索問題を重視すべき考えから見れば,同じ情報に対して,検索要求が違い,多視点から情報を収集する必要性があり,ファセット分類が必要である。そのゆえ,学問分野の境界を越えて,二つ以上の学問分野からある特別の現象に関する研究である学際的な情報をいくつかの学問分野領域に分散することをさけるため,学問分野よりもむしろ事象に注目する強い傾向が示されている。学問分野的アプローチからのファセット分類法は,学問分野の文脈に左右されているという弱点があるため,ファセットの徹底的に拡展することが禁止され,又,(列挙分類法ほどではないが)分類項目を絶えず編修していく問題を避けられないという事実から,理想的な分類法は,事象的アプローチを導入していたファセット分類となるべきである。
(3)予想される成果:
本稿では,CRGの積層レベルの理論に注目する。CRGは当時の状況から<学問分野的アプローチ>を優先させが,多ユーザーの情報検索研究を重視するべき共に学際的な研究が広がっているインターネットの現況から見ると,<事象的アプローチ>のファセット分類により,情報検索が向上すると考えられる。