三田図書館・情報学会:Mita Society for Library and Information Science

【2005研究大会】医療系図書館員の知識・スキルおよび意識の現状-医療従事者との意識のギャップを中心に

◆氏名 平紀子
◆所属 北海道医療大学 学術情報センター
◆発表題目 
 医療系図書館員の知識・スキルおよび意識の現状-医療従事者との意識のギャップを中心に
◆発表要旨
(1)研究目的 
医療系大学図書館の多くは学生・教職員等の学内利用者のみならず,臨床現場の医療従事者に医学・医療情報を提供している。このように多様なユーザーの情報ニーズに応えるためには高度な専門知識・スキルが不可欠である。そこで図書館員がもつ専門知識・スキルと意識の現状を明らかにし,さらに,医療従事者の情報ニーズおよび図書館員への期待度を調査し,両者間のギャップの有無およびその問題点を明らかにすることをこの研究の目的とした。
(2)研究方法 
道内の医療系図書館員および医療従事者にアンケート方式質問調査とインタビュー調査を実施した。得られた回答結果に基づき,統計ソフト「SPSS11.0J for Windows」によるデータの集計,クロス集計,分析を行い,図書館員の知識・スキルの現状と医療従事者の学習・情報ニーズを明らかにし,両者間の意識のギャップをみた。図書館員を対象とした調査は,道内の医療系大学図書館員93名(52名回答),病院図書室職員36名(21名回答)を対象に行った。調査期間は平成16年2月20日~3月26日,調査項目は研修会参加状況,利用者サービスに対する意識,業務上の知識・スキル・態度,医療従事者からみた期待度等について回答を求めた。また,医療従事者を対象とした調査は,道内の医師120名(95名回答),歯科医師999名(86名回答),看護職974名(658名回答)を対象に行った。調査期間は平成15年12月10日~平成16年3月10日,調査項目は情報ニーズの内容,情報の入手方法,入手した情報の満足度,図書館員への期待度,情報検索の知識・スキルおよび図書館の利用状況等について回答を求めた。
(3)結 果
図書館員は研修会参加の機会が少なく,特にデーターベース,EBM,インパクトファクターに関する知識・説明能力のレベルが低く,情報サービスに自信がなかった。そして医療従事者からは期待されていないと思っていた。また医療従事者の情報収集活動における満足度は低かった。医療従事者からの期待度の高い項目は「インターネットによる医療情報の提供」「講習会の開催」「利用者との充分なコミュニケーション」であった。図書館の利用率は低いが図書館員に対する期待度は高かった。
図書館員と医療従事者間のギャップが大きい項目は「教養知識」,「専門知識」,「コンピュータ活用能力」,「プレゼンテーション能力」,「柔軟な環境適応能力」であった。 
医学図書館員と医療従事者間の意識にはギャップがあることが明確になった。

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