【2005研究大会】公共図書館職員の知識・技術に関する意識を形成する要因:LIPER 公共図書館班アンケート調査におけるクロス集計を中心に
◆所属 青山学院女子短期大学一般教育科目,青山学院大学文学部,筑波大学図書館情報メディア研究科,青山学院大学文学部
◆発表題目
公共図書館職員の知識・技術に関する意識を形成する要因:LIPER 公共図書館班アンケート調査におけるクロス集計を中心に
◆発表要旨
(1) 研究目的
本研究は,日本図書館情報学会 LIPER プロジェクト実態調査グループ 公共図書館班による研究成果の一部である。すなわち,公共図書館職員養成という観点からの図書館情報学教育のあり方の検討するために,「公共図書館の職員は,図書館職員に必要な知識・技術をどのようにとらえているか」,そして「必要な知識・技術はどこで修得させていくべきか」という意識等の実態を把握し,併せて公共図書館職員養成のあり方について考察していくことを目的とする。
(2) 研究方法
上記目的を達成するため,全国の公共図書館職員(常勤または常勤相当の職員)に対し,2004年9月から10月にかけてアンケート調査を実施した。この調査では,『日本の図書館 2003』の掲載順に従って系統抽出した175自治体(全体の約10分の1に相当)に質問紙を郵送して,当該自治体の全ての常勤職員及び常勤相当(週40時間勤務)の非常勤職員に回答を依頼した。その結果,120自治体から1266名分の有効回答が寄せられた。この成果について,図書館情報学教育関係者への聞き取り調査で詳細な分析の要望が強く出されていた,司書資格の有無,館長の意見,設置母体の違い,図書館以外の職場の勤務経験といった回答者の属性についてクロス集計で検討する。
なお,本調査の単純集計部分については,2005年度日本図書館情報学会春季研究集会にて,クロス集計の方向性に関する図書館情報学教育関係者への聞き取り調査については,2005年度西日本図書館学会春季研究集会にてそれぞれ報告済みである。
(3) 得られた成果
フェイスシートと知識・技術部分のクロス集計を検討すると,設置母体,館長(職位),司書資格,図書館以外の職場の勤務経験等によって意見がかなり異なってくることが分かる。本発表では,以上の点に関する詳細な発表に加え,これらの諸要素に図書館内外での勤務年数なども加えて複数の要素を組み合わせたより詳細なクロス集計を行い,どの要素がこれら職員の知識・技能に関する認識に影響を与えているのか,さらに職員側から見た既存の教育の効果,問題点を見つけ出すことで,公共図書館職員養成教育の改善に繋げていくことを予定している。