三田図書館・情報学会:Mita Society for Library and Information Science

【2005研究大会】学校における読書環境の現状及び今後の方向性に関する比較検討

◆氏名 米谷優子
◆所属 甲南高等学校・中学校,関西大学(非常勤講師)
◆発表題目 
 学校における読書環境の現状及び今後の方向性に関する比較検討
◆発表要旨
1)研究目的
 近年,「読書力の低下」が問題視されている。この問題意識を背景として,2001年12月には「子どもの読書活動の推進に関する法律」が,また2005年7月にはその対象を「すべての国民」に拡大した「文字・活字文化振興法」が成立した。読書活動の意義やその想定する対象については少なからぬ議論の余地があるものの,基本理念として地域ならびに学校等における環境の整備をうたっている点で,注目すべき点があるといえる。子ども読書活動推進法は,国及び地方自治体での読書活動推進計画の策定を義務付けており,これに基づいて,2005年3月31日時点で,45都道府県,184市区町村で計画が策定されている。公教育の実施主体である地方自治体での計画策定への取り組みとその内容は,今後の読書環境整備等に関する施策の方向性を具体的に位置づけるものとして注目される。
 学校教育の場における読書環境の整備に関して,国においては,学校図書館法の司書教諭配置猶予に関する附則撤廃(12学級以上校対象;2003年4月~),学校図書館図書整備計画(2002年~2006年)など,読書活動推進の基本的計画と前後して,いくつかの施策が打ち出されている。しかし,既に1993年~1998年の学校図書館図書整備計画でその達成を目標として交付税措置を実施したはずであるが,いまだその達成校割合が3割前後にとどまっていること,司書教諭発令は12学級以上校においては98%の達成率であるものの全体で見れば4割以上の学校で司書教諭の発令がない事態が続いていることなど,達成度は十分であるとはいえない。そしてその内訳をみると,公教育の実施主体である地方自治体によって,その施策の実施・成否に大きな格差があるのが実情である。
 本研究は,学校の読書環境に関する現状を比較検討し,今後の方策の1つとして各自治体の読書活動推進計画における学校・学校図書館に関する記述を対照することによって,学校の読書環境整備に関する施策の格差の実態を明らかにし,その是正に向けての方策を探ることを目的とする。
2)研究方法
 文部科学省及び全国学校図書館協議会によって実施された,学校図書館に関する調査結果をもとに,学校図書館資料の充実度,学校図書館スタッフ等,学校における読書環境について現状の比較分析を行った。また今後の施策方針を探る指標として,2005年3月末までに策定された自治体の子ども読書活動推進計画の学校・学校図書館に関する記述部分を対象として,比較対照を行った。
3)成果
 学校における読書環境の現状と施策の方向に関して,自治体格差を具体的な細項目レベルで明らかにし,是正のための方策を探る一助とする。

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